マリア様がみてる//クロスオーバー//空の境界 月姫

「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
さわやかな朝の挨拶が青空にこだまする。
マリア様のお庭に集う乙女たちが、今日も天使のような無垢な笑顔で、背の高い門をくぐり抜けていく。
汚れを知らない心身を包むのは、深い色の制服。
スカートのプリーツは乱さないように、白いセーラーカラーは翻らせないように、ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ。もちろん、遅刻ギリギリで走り去るなどといった、はしたない生徒など存在していようはずもない。
私立リリアン女学園。
明治三十四年創立のこの学園は、もとは華族の令嬢のためにつくられたという、伝統あるカトリック系お嬢様学校である。
東京都下。武蔵野の面影を未だに残している緑の多いこの地区で、神に見守られ、幼稚舎から大学までの一貫教育が受けられる乙女の園。
バレンタインデーの騒動も終わり、薔薇の館に平穏の日々が戻ってきた。
けれど、少し寂しい気がするのは気のせいじゃないと思う。
薔薇さま方が3人とも受験ということで、薔薇の館にほとんどいらっしゃらない。ブゥトンとそのプティスールの5人でいることが多くなって、2階の部屋もなんだか隙間風が吹いているような感じなのだ。
薔薇さまがいない世界。そんなのなんだか現実に思えなくて、ふと、他の学校はどうかと考えてみると、普通に生徒会があってやっぱり3月には生徒会の3年生は卒業するわけで、あまり変わらないのかな、なんて思った。

他校との交流会。その話は降って湧いた。本当に与り知らないところで進行して交流会をやることが事実となって薔薇の館を襲った。

「交流会?結構、けれど私たちが赴かなければならないというのはどういうこと?先方からの話ではないの」
「そうでもないみたいだよ。かなり複雑な事情があったみたいだ」
「複雑な事情って何よ?後ろ暗くなければ説明すれば良いのよ」
放課後、いつものように志摩子さんと共に薔薇の館に来て見ると紅薔薇のつぼみ(ロサ・キネンシス・アン・ブゥトン)黄薔薇のつぼみ(ロサ・フェティダ・アン・ブゥトン)がポンポンとテンポの良い会話?を繰り広げていた。由乃さんは紅茶を淹れているところみたいだ。流し場に行って由乃さんを手伝うけれど、会話が気になって仕方ない。
「祐巳ちゃん、分かりやすすぎ」
「へっ?」
やはりというか、顔が疑問符でうまっていたようだ。
「皆が集まってから説明するって、黄薔薇のつぼみ(ロサ・フェティダ・アン・ブゥトン)がおっしゃっていたわよ」
紅茶ポットにカバーをかぶせて、砂時計をひっくり返す。トレイに乗せてテーブルの方へ。由乃さんは先に行ってテーブルでカップをお湯で温めてくれている。砂時計が落ちきったところで並べてあるカップのお湯を捨てて紅茶を注ぐ。今日の紅茶はアールグレイ。ベルガーモットのやさしい香りが立ち昇る。お菓子は市販のクッキー。焼きたてのスコーンにホイップクリームがあれば完璧なのになぁ。
紅茶が皆に渡りきったところで、黄薔薇のつぼみ(ロサ・フェティダ・アン・ブゥトン)が説明を始めた。
来週の土曜に礼園女学園高等部との交流会があるというのだ。なんでも学園長からの直接の説明がついさっき放課後になってからあったそうだ。礼園女学園は横浜のはずれにある古くからあるミッションスクールで数年前からお嬢様育成学校になっているという。しかも、小学校からのエスカレーター方式とリリアン女学園そっくりだ。ただ、礼園女学園は全寮制だということが決定的に違う。しかも、学期中は実家に帰ることも許されないというから、かなり徹底した管理体制だ。礼園女学園の学園長リーズバイフェさまがリリアンの学園長上村沙織さまと旧知の仲で、交流会の企画自体はかなり昔からあったらしい。
「決定事項なので、蹴ることも出来ない。まぁ、おしゃべりしてこれば良いだけだから楽しめばいいと思う」
黄薔薇のつぼみ(ロサ・フェティダ・アン・ブゥトン)が話を終えたけれど、紅薔薇のつぼみ(ロサ・キネンシス・アン・ブゥトン)こと祥子さまはまだ不満げなご様子。けれど何をどう言っても仕方ないことというのは理解しているので黙ったようだ。
交流会とはいえお姉さまと来週の土曜日にお出かけができる。あ〜でも交流会ってことは制服で行かなきゃダメなんだろうな。そういえば薔薇の館の面々でいっしょに出かけるなんてこと今までしたことがない。きっと楽しいお出かけになるはず。
「祐巳、なにをへらへらしているの」
「え、えっ?」
うわ、八つ当たりっぽいお姉さまのプチヒステリー。
「いいかげん、その間抜けな受け答えはどうにかならないものなの?それに何を考えていれば、そんな緩んだ顔になれるのかしら?」
ゆ、緩んだ顔・・・それはあんまりなお言葉です、お姉さま。でも、そんなこと口に出そうものなら、どうなるか。
「祐巳、どうなの?」
考える暇もなく追撃が来る。昨日、祐麒がリビングでやっていた格闘ゲームの追い打ちみたいだ。頭の上あたりに三連コンポとか出ているんだろうか。
「祐巳ちゃんは、お出かけできるのが楽しみなんだよね?」
「ぎゃっ」
いつのまにか白薔薇さま(ロサ・ギガンティア)が背後にいて、いつものようにぎゅっと抱きしめられていた。どう考えてもこのタイミングは紅薔薇のつぼみ(ロサ・キネンシス・アン・ブゥトン)をからかいに来たとしか言いようがない。
白薔薇さま(ロサ・ギガンティア)、祐巳はぬいぐるみではありませんと何度も申し上げたと思いますがご理解いただけないのでしょうか?」
今度はぬいぐるみと来ましたか、お姉さまの一言で上にも下にもどっかんどっかん気分が変わってしまう妹としては、もう今日は散々である。
白薔薇さま(ロサ・ギガンティア)、朝にはいらっしゃらなかったと思いますがいかがされたのですか?」
「ああ、成績証明書とか受験関連の書類を受け取りに来たのよ」
志摩子さんの質問で紅薔薇のつぼみ(ロサ・キネンシス・アン・ブゥトン)の追求も一段落。見かねてタイミングを図っていてくれたみたいだ。
「交流会かぁ、かわいい子いるかな」
白薔薇さま(ロサ・ギガンティア)の参加は却下です」
「じゃぁ、来週の土曜は横浜に遊びに行こうかな」
「どうぞご自由に。ちなみに礼園は部外者の立ち入り禁止ですので、着いてきても無駄です」
「んじゃね〜」
紅薔薇のつぼみ(ロサ・キネンシス・アン・ブゥトン)の返答を聞き流してビスケット扉を出て行ってしまった。

他校との交流会。その話は降って湧いた。本当に与り知らないところで進行して交流会をやることが事実となって面々を襲った。

「黒桐さん、来週の土曜日は開けておく事ね」
「何故、貴女にそんなこと言われなければならないのかしら?」
玄霧先生が亡くなるという事件の後はかなり落ち込んでいたはずなのに、あっさり復活するとは黄路の後を継ぐものの精神力は伊達じゃない。何故か黄路先輩は私に好意をもって接してくる。私のほうにはそういった気は一切ないのに。一度、まったく気があわない。と言ってやったにもかかわらず懲りない。
「後でマザーからお話があるわよ、それでは」
黄路先輩は言うだけ言ってさっさと行ってしまった。後で呼び出されることを知っていて、ああいったことを言うということは、単に顔色が変わるのを楽しみにした発言だった、ということに思い当たり、無性に腹が立った。しかも、相手に逃げ出された後だった。
学長室に呼び出されて聞いたところによると来週の土曜日にリリアン女学園との交流会があるという。一般生徒の代表ということで同席するようにとのことであった。物事が勝手に決まって押し付けられるのは嫌いだけれども、決定事項のようなので引き下がるほかない。本当は橙子師のところへ行く日だったのだが、その点は学園長が話をつけてくださるとのこと。入れ替わりで黄路美沙夜が学長室へ入っていった。おそらく事前の打ち合わせだろう。すれ違ったときにニヤリとされた。ここが学長室でなければ、かかと落としの一つも放り込んでやるのに。
要因の一つに心当たりがあるから、そっちで気を晴らすことに決めた。
部屋に戻るところで、ルームメイトの瀬尾晶がダッシュでどこかへ行こうとしていた。
「瀬尾。どこへ行くの」
声をかけられた瀬尾は驚いた猫のようにビクッとはねて止まった。止まってから、しまった!どうしようというオーラを発してから、しぶしぶこちら向く。
「生徒会の仕事で黄路先輩に呼ばれているんです。急がないと、じゃぁっ」
「嘘ね。黄路先輩は生徒会室にはいないわよ。今ごろ学長室で打ち合わせ中だわ」
今度こそ瀬尾は固まった。やはり犯人はこいつだったか。
「きっちり説明していただこうかしら?」

部屋に戻って査問会を開いたところによると、今度の交流会、生徒会だけでなくて寮長も出席だということだ。生徒会と寮組織は昔からマリアナ海溝級の溝が開いたままだ。しかも前生徒会長と前寮長も出席するという。前生徒会長が黄路美沙夜というワンマンな性格な上に、現寮長が遠野秋葉という、これまたタカビーお嬢様の見本のような人物ときている。瀬尾は生徒会書記だけれど、遠野先輩とも親しい。
「で、私を巻き込んだと?理由になっていないわよ」
「一般生徒も1人は参加させたいって方針なの。でも、参加する人の名前を聞いたら普通寝込んじゃうと思う」
「確かに同席したら胃が痛くなるような面々ね」
「でしょう。名前を出したのは確かに私だけれど、黄路先輩が一番乗り気だったのは意外」
やはり必殺のネリチャギを叩き込んでおくべきだったか。
コンコンとノックがしてから、ドアの向こうから凛とした声が響いた。
「遠野です。瀬尾はいるかしら」
なんというかさすがに気の毒になってきたが、自業自得なので応対してしまうことにする。
「はい。どうぞ」
ドアを開けるとををっ?という表情の遠野先輩が立っていた。
「あら、査問会だったかしら?」
一瞬驚いた後でも、すぐに切れ味のいい返答が帰ってくる。頭の回転の速さが凄い人だ。しかし、この人もいい性格をしている。
「いえ、楽しいお茶会ですよ」
振り返ると瀬尾は、白き灰がちになりて悪ろしといった風情であった。

土曜の午前のうちに薔薇の館に5人で集合して、早めの軽い昼食を取った後、車で礼園女学園へ向かうことになった。お姉さまが強硬に混みあった電車で行くのは嫌。と言い張ったためである。12時過ぎに小笠原家の黒い送迎車が校門前に来た。
「おはようございます。皆様方」
運転手さんが降りてきて後部座席のドアを開けてくださった。なにか違和感がある。後部座席のドアが2つ?映画で出てくるお金持ちが乗るようなやつで、社内ではブランデーを傾けたりできちゃう車じゃなかろうか。やはり、お姉さまの家は映画とかそういった世界に近いのだ。
青梅街道へ出て環状八号線へ入るともう渋滞でうんざりといったところである。まぁ、うんざりなのは運転手さんだけで私たちは後部座席で楽しくおしゃべりしているだけだけど。お姉さまはというと、車に弱いからといって助手席に乗るや否や寝てしまった。第三京浜に入って都築PAで休憩。土曜の午後ということで、あまり人がいなくて閑散としていた。ソフトクリームとか食べたいところだが、礼園についたらお茶会と決まっているので自粛することにする。
PAを出て保土ヶ谷で首都高速に入って桜木町で降りる。海と反対の山の側へ登ってゆくこと十数分。横浜の喧騒はどこへいったといった荘厳な雰囲気に包まれた礼園女学園へ到着したのであった。
全寮制でお嬢様を預かっていることもあって高い塀が張り巡らされてあり完全に外界を遮断している。門を入ってしまうと別世界だ。
「妖精とか森の神様とかそういうのがいても不思議じゃない雰囲気だね」
黄薔薇のつぼみ(ロサ・フェティダ・アン・ブゥトン)が何気なくつぶやく。
「実際、いたらしいわよ。何か事件があったらしいけれど関係者は口をつぐんでいるから、何事もなかったことになっているの。交流会で妖精の話題は禁止よ」
いつのまにか起きていた紅薔薇のつぼみ(ロサ・キネンシス・アン・ブゥトン)が答えた。
車を降りて校舎へ向かおうとすると運転手さんがお姉さまを呼び止めた。車のトランクが空いている。
「こちらをお忘れです。」
でっかいクーラーボックスにケーキの箱と思われるものが3つ入っていた。交流会=お茶会の出席者全員分は優にあるだろう。そうこうしているうちに一人の女性がこちらへ歩いてくる。教会のシスターを思わせる地味で優美な黒い制服。リリアンの制服もそのままミサに出られるようなデザインだけれど、礼園のほうがよりシスターっぽいワンピースでスカートもフレアだ。たぶんこの人が生徒会長だろう。
「ようこそ礼園女学園へ、交流会ということで校舎の部屋ではなく、寮の歓談室を空けております。寮まで少々歩いていただくことになります。」
なんだか生徒会長にしては存在感みたいなものが薄いように感じられるのは私だけだろうか?
校舎に入って上履きに履き替えてから、林のあったほうへ歩いていくと林の中を渡り廊下がずーっと続いていた。

「は〜い、祐巳ちゃんいらっしゃ〜い」
はたしてそこには薔薇さま方が既にご歓談中だったのでした。
簡単な自己紹介を終えるとお茶が配られ、ケーキはリリアン側が持ってきたものを好きに選ぶといった形でお茶会は始まった。
礼園のメンバーは前生徒会長、前寮長、現生徒会役員、現寮長、一般生徒代表の計8名。リリアンのメンバーは薔薇の館の8名。礼園側の人で目を引くのが前生徒会長と現寮長、一般生徒代表だ。薔薇さまに匹敵する雰囲気をまとっている。何より3人とも黒髪の美人だ。
ぜんぜん違った意味で目を引いたのが、私たちが持っている箱のロゴをみるとキュピーンと目を輝かせている人だ。たしか書記さんだったかな。この人とは話が合いそう。
自然に薔薇さまとつぼみは前生徒会長、前寮長、現生徒会長、現寮長と高度なお話といった形に、それ以外のメンバーは普通に雑談といったところになった。
実際、薔薇さま方がいらっしゃるほうは、ディベートの見本のような会話がなされていて、高等詐術や誘導尋問なんでもありの人外魔境だ。あんな中に放り込まれたら3秒でノックアウトされちゃうだろう。白薔薇さま(ロサ・ギガンティア)黄薔薇さま(ロサ・フェティダ)はすごく楽しそうな顔をして参加しているけれど、紅薔薇さま(ロサ・キネンシス)のここまで真剣な表情は初めて見た。
こっちの会話は実にライトで瞬時に話題が移ろう。あっちの会話は1時間くらいでお開きになったらしくあとは皆で雑談といった風情。箱のロゴが気になったので晶さんにそっと尋ねてみた。
「失礼かもしれませんけれど、箱のロゴ見て喜んでいらしたわよね?有名なのこの店?」
「知るひとぞ知るといった名店です。ホテルニューオータニの正面ロビーに入っている店で有名なパティシェがオーナーです。でも、お小遣いではちょっと手が出ないから、今日はこれが食べられただけでも幸せ」
やっぱり祥子さまはすごい、庶民は知らないすばらしい店をご存知とは。妹として鼻が高いです。
「祐巳さんは甘いものが好きですか?」
「そりゃぁもう大好き」
「実はこの後喫茶店を半分貸しきりにしてあって、またケーキが食べれるんですよぅ」
「本当?」
「ちょいとそこのケーキ魔人のお二人さん、あんまり食べると太るわよ」
白薔薇さま(ロサ・ギガンティア)のつっこみがいきなり入って驚いたら、皆の視線がこっちの方を向いていることに気がついた。
「瀬尾、この後行くのはアーネンエルベ?」
と、これは秋葉さま。
「はい、冬の季節なのでフルーツタルトの品数が少ないのが残念です」
「誰もそんなこと聞いていないわよ」
「フルーツタルトといえば瀬尾、アーネンエルベのブルーベリータルトとチェリータルト1ホールづつを食べたって言ってたよね?士貴さんにおごってもらったんだって?」
鮮花さんがそう言った瞬間、ぴしっ、と音がしたような気がする。秋葉さまの髪の毛が一瞬赤く見えたような。
「いくらなんでも2ホール全部は食べきれませんよぅ」
「でも、ほとんど食べきったんだ?すごいねぇ」
「そういえば皆さん、よく外の街をご存知ですね」
ぴしっ、礼園側の人が、それも威厳あるオーラを放っていた方々が固まっている。自分で言ってから気がついたけれど礼園って全寮制で夏休みとかじゃないと実家にも帰れないんじゃなかったっけ?でも、会話からしてよく街を歩いているとしか思えないし。(じ、地雷だったかな)
「さ、お片づけして街へ出ましょう」
一番先に自己解凍した美沙夜さんの声で皆が動き始めた。さすが、前生徒会長だ。
曲がりくねった坂を下って街に出る。仲良くなった面々との会話しながらの道程は少々遠くても楽しかった。道すがら紅薔薇さま(ロサ・キネンシス)がすすっと寄ってきた。
「さすが、祐巳ちゃんね。リリアン大敗北の直前に逆転満塁ホームランとは、お婆ちゃんはうれしいわ」
「へ?」
「お茶会の最初のテーブル。こちらの人外魔境は覚えているわよね?リリアン側は手も足も出なかったのよ。唯一、祥子が気負けしていなかったくらい。美沙夜さんと秋葉さんは財閥の後継で、既に指揮を振るっているようなのよ。プロとアマの差ね」
「ええっ?でも、黄薔薇さま(ロサ・フェティダ)白薔薇さま(ロサ・ギガンティア)も楽しそうでしたよ」
「あの人たちは楽しければいいのよ。不思議なのは令。なにか恐がっているのよ。聞いてみたのだけれど、勝つ負けるのレベルではないと言っていたわ。気配が人ではないと」

アーネンエルベはドイツ語で遺跡という意味だそうで、明りは窓からだけ、飾り気のないテーブルの白と太陽の日差し、その他の部分の乾いた陰の黒のコントラストが教会を思い起こす。
ここでは完全に女子高生のおしゃべりモード全開で会話を楽しんだ。晶さんとはもうお菓子の話で意気投合してしまって気がつくと解散の時間になっていた。 薔薇さま方は電車でお帰りになられるということで、ここでお別れ。私たちは礼園まで戻って小笠原家の車で帰宅の途につくことになっている。ふと礼園まで戻ってくると礼園のメンバーが半分くらいになっている。おや?と思っていると顔に出ていたようで、晶さんがそっと答えてくれた。
「裏技があるんです。いろいろ。今日のお茶会にはたまたま裏技を持っている人が多くいるだけです。他には数人いるかいないかそのくらいです」
「今日は本当にありがとう。すごく楽しかった」
「こちらこそ。そうそう福沢さん、楽器がなくても歌えばいいんです」
「は?」
「半年くらい覚えておくと役に立つと思います」
「???はい」
(半年も覚えていられるかなぁ)
帰りもお姉さまは熟睡してしまい、今日はほとんどお姉さまとお話できなかったことに今になって気がついた。

あとがき

ことの発端はまいじゃー推進委員会からリンクで飛んだ先のページでライトノベルアンケートのデータ解析の結果を見たこと。クラスタ分析の結果、空の境界の隣に、マリア様がみてるが来ていたのでした。マリみては手にとるとやばい気がしていたので買わないでいたのですが、1巻を買ってしまったが最後、既刊をどかっと買って読破してしまいました。ということでマリみてに転げてしまい、また、仕事が忙しくて動画は作っている暇がないってことで、SSを書いてみることにしました。<冬コミで少数発行しただけで眠っていたのを発掘。手を入れようと読み返してびっくり、こりゃぁ手が入れられんわ。ってことで、そのままWeb化です。

著者 TA178 発行 April snow E-mail ta_178@yahoo.co.jp Web http://www.heppoko.gr.jp/~inaba