中古ソフト問題  どうすればソフト市場が健全であるか検討しましょう。
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1.はじめに

 まずは共通認識と前提から。
 音楽CDを例にすると、新品は邦楽で約3,000円ですが、中古ではほぼ2,000円以下です。また、レンタルCD屋を利用すれば1回500円以下で借りられます。また、友人から借りてタダで済ませている人もいるでしょう。
 問題は、製作側が適正な利益を得る事が出来るか、そして消費者が満足出来る品を購入する事が出来るか、にあります。収益が無ければ道楽でしか作品が作れませんし、消費者が満足できない場合は市場が崩壊する危険があります。

2.ソフト商品と通常の商品の差違

 ソフト商品は通常の商品とどう違うかを明確に示しておきましょう。
  • 時間によって価値が上下する
     基本的にソフト商品は時間経過とともに価値が下がります。逆に、限定製品などでは価値が上がる事もあります。ナマモノでも無いのに、不思議ですね。
  • コピー出来る
     大きな問題です。これによって、市場のニーズと実際に売れる数量が掴み辛くなります。また、殆どの場合、違法行為です。
  • 無くても我慢できる
     嗜好品や玩具同様、無いから生活に支障が出るかというとそうではありません。「健康で文化的な最低限度」には入らないという事です。
  • 価格における物理的原価が低い  ソフト商品は普通の商品で言う「開発費」である「制作費」が非常に大きな割合で原価に入っています。よって、海賊版(贋物)の標的になりやすいのです。

     これだけ差違が有ると言う事をきちんと踏まえた上で、これを消費者側の立場からも見てみましょう。
  • 購入する前に中身が確認できない
     殆どの場合、ソフト商品は中身が確認出来ません。よって、趣味性が高い為同じ商品でも人によって価値が違う事も有り、当たり外れを発生させてしまいます。勿論、宣伝に偽りがある事もあるでしょう。
  • 飽きる
     物にもよりますが、大抵は長期間使用したりしません。(その短期のために使うには金額が大きいというのもあります)そのソフトだけ延々と繰り返していられるかと言うと、そうはいきません。飽きたら価値は極端に下がってしまいます。

    3.公正な取り引きとは何か

     では一体、ソフト商品を公正に取り引きさせるにはどうしたら良いのでしょうか。少なくとも、現状維持ではいけません。  まず、違法コピーに対する罰則と罰金を強化し、ソフト会社にはその分の損害賠償金が入る仕組みを作ります。そして同時に仕様権利を放棄したコピー可能なソフト(主にビジネスソフト)の中古販売を認めます。これで企業関係は大分健全になるでしょう。企業とってソフトウェアも資産であり、売却や異動が出来ない契約条項があるのは無理が有ります。
     更に、コピーできないソフト(主にゲームソフト)に関しては体験版の廉価流通安定供給を義務付けし、替わりに中古販売を禁止します。内容が信用できない人は体験版で確認してから購入できます。製作側の手間は増えますが、これでソフトの多様性を保ちつつ、ソフトのあるべき場所へ供給するという目的を達成できるでしょう。
     つまり、公正な取り引きとは「必要な人に、適正な価格で」という事であって、どちらかの勝手な都合ではいけないのです。「神の見えざる手」が決めるのが正当な価格であり、人がコントロールすると必ずどこかに歪みが生じてしまいます。
     かと言って、法的な拘束を無視して無秩序に違法がのさばると正直者が馬鹿を見るという困った状況に陥ってしまいます。やはり著作物の複写に対する罰則規定強化、罰金増強をしてからでないとメーカーに対して契約条項の見直しを迫るのは酷でしょう。
     法的整備として具体的には、個人団体を問わず、懲役期間の延長、罰金の上限撤廃、違反摘発協力者への謝礼増額等が良いでしょう。それこそ駐車違反も罰金が100倍になったら殆ど誰もしなくなるのではないでしょうか。

    4.個人的な本音

     やはり問題は、ゲームにしろ音楽にしろ、ソフトウェア商品の多くは価格が大差無いのに品質の差が大きすぎる事です。出来ればポストペイド方式にして戴きたいものです。パソコンも初心者にとってはソフトウェア商品なのだからポストペイドでないと最近のような諸問題が起きてしまいます。
     粗悪品を作るメーカーは業界から追放するとか、そういった厳しい措置があってこそ信用される市場が形成出来るのではないかと思いますが、このシステムを悪用すると単なる独占か寡占になるので困ります。完全な第三者機関が評価して点数を公表するならまだ良いかと思います。
     粗悪品はそれこそ違法コピーされても訴訟できないとか、それくらいの罰則が必要ですね。また、誇大広告に対する一般ユーザーへの賠償金支払制度を確立するとか、被害拡大を防止するシステムも必要です。PL法より厳しいかも知れません。

    5.公正取引委員会への提言

     ゲーム業界だけ指導しても全くの無意味です。未だに談合を常としている他の業界から指導し、日本のモラルを全体的に向上していかないと歪みが生じてしまいます。例えば98年春に缶ジュースが一斉に値上げになりますが、そもそも消費税が3%の時に10%も値上げしてそれを自販機を言い訳にしてきたどうしようもない腐れた根性の業界が指導をされないという事が間違っています。また、単に原価の上昇というのであれば全く納得なのですが、元々お茶の原価は目茶苦茶安いはずです。なぜメーカーによる全銘柄横並び価格を是正させないのか、疑問です。これはもう接待を受けているからと言われても仕方ないでしょう。もっとおかしい業界が「古くからの慣例」の名の元に手厚く保護を受けているというのが笑えます。まあ、所詮日本人の作った組織なので腐ってて当然ですね。

     なんかもう厭になったのでここで終わり。1998/02/26