諫早湾で何が起きているか

公共事業論

1.まえがき

 諫早湾問題に関して、ニフティの会議室なり、NewsGroupなりである程度情報を仕入れてから以下の文章を読んでください。そうでないと主張内容を誤解したり、無駄に怒る事になります。

2.公共事業の歴史

 人類が農耕技術を手に入れた時から既に公共事業は存在を約束されていた。つまり、それまでの狩猟生活でも協力して獲物を捕るという事は有っただろうが、全員がその作業を直接見ていたのだ。しかし、農耕生活では灌漑や治水という、作物には直接関係ない作業が増えたのだ。(雨さえ都合よく降れば、これらの作業は必要無い)
 さて、更に時代は進み、農耕用の土地が不足すると、純粋に土地を求める戦争が勃発する事になった。すると、城塞を築いたりするか、あるいは土地そのものを増やす為の防風林作成や新田開発も行われるようになった。
 勿論、権力者による大仏建立などの公共事業もあった。これこそ「支配の為の公共事業」であり、意味深いので、良く心に留めておいて欲しい。
 近代に入ると、ダム建設のような工業用の公共事業、高速道路建設のような流通サービス業の為の公共事業も出て来たわけであり、社会生活と深く関わっている事が良く分かる。ともかく、この辺りは各種文献の方がデータ等が正確であるので、ここでは大まかな流れだけ紹介した。

3.ムツゴロウは何を語るのか

 さて、本題に戻って諫早湾である。世間ではまるで「無理解なお役所VS動物を護る団体」であるかのように報道されているし、諫早湾問題もそこにあるかのように定義付けされているかのように思える。が、しかし、実際の問題はそうではない。私から見ると「公共事業汚職を誤魔化す為に自然保護団体を自ら焚き付けて、本当の問題から目を逸らせようとする汚い政治家の策略」でしか無い。ムツゴロウなんてこの問題が刺身ならツマに過ぎない。
 そもそも、諫早湾を埋め立てて何か国民にメリットがあるのか? 何の良い事も無いのに公共事業をするのは背任行為だから、当然それなりに理由が付いている。農地の確保と治水である。しかし、ただでさえ減反政策をしているのに、今更農地が必要なのかは甚だ疑問である。また、その土地は誰が買うのか。元々海の底だった所を売る値段は誰が何を根拠に決めるのか。また、本当にこれで治水は良いのか。本当は川が氾濫するから海をどうこうしても駄目じゃないのか、等も疑問である。
 海を堰き止めて、本当にメリットが有るならもっと堂々としていて欲しい。

4.「和」のメリット・デメリット

 こうした暗黒政治は、完全には悪とも言い切れない。なぜなら、少なくとも誰かが得をするので、その人にとっては非常に良い事なのだから。工事を請け負った業者は売り上げ安泰であり、経済の安定は社会の安定につながるからだ。安定して会社が存続すれば、手形決済も出来るし、社会は落ち着く。
 一方、こうした曖昧なルールの上に成り立った社会では腐敗が必ず発生する。知り合いを見ていても、親方日の丸絶対潰れない会社の人は言葉の端々に「俺が良ければ社会的弱者が更なる損をしてもかまわない」という理論が滲み出て来るのがわかる。勿論、彼等とてそれを直接口にしているのでは無いが、そういう事だ。弱者が救済されないならまだしも、弱者をさらにいたぶって自分の利益を出そうとするのはいただけない。また、自分に利益を供与する為の口実の癖に「公共の為に」などと計画を推進するのも共通点。あんたが自殺した方がよほど日本の為だってば。
 こうして見てきたが、当然、厳密厳格な「律」社会にもメリットとデメリットがある上、国民性という謎のパラメーターも無視は出来ない。また、革命的に社会システムを一気に変更すると、結果の善し悪しに関わらず必ず歪みによってデメリットが浮き彫りになってしまう。個人の側から徐々に変えていくのが大切ではなかろうか。

5.Now Making